金融庁登録業者だった!! MARS投資詐欺事件

アメリカの医療制度 および 医療機関の医療費や保険請求の制度を利用した MARS なる高利回りの投資が、やはり破綻しました。

 

この案件、金融庁の登録業者だった、いわば 「お墨付きがあった」業者だったので、あちこち広告戦略を打っていたこともあり、かなりのお金を集めていました。

 

 

 

 

 

必読! 投資詐欺に注意!!

投資にはリスクはつきものですね。

でもその投資が詐欺かどうかって

どうやったらわかると思いますか?

 

アメリカでは全くニュースになっていないので

知らなかったのですが 日本のお客様から

こんなニュースが最近話題になっています、

とメールをいただきました。

 

そのメールに言われていたことは2つ。

 

1.アメリカのファンド

2.エスクロースキーム

 

これを読んで怖くなったということでした。

その内容はこちらをご覧下さい→(★ 注)

 

先ほども述べたように この事件は

アメリカでは全く報道されておらず

新聞にも載っていませんでしたが

まずは日本のたくさんの新聞に載っている記事を読み、

そのあと英語に訳されているものも読んでみました。

 

この会社は診療報酬請求債権(MARS=Medical acounts receivable system)へファンド金を投資して 投資家へ6-8%のリターンを支払うというものらしいですがこれ、

アメリカ保険事情をご存知の方は絶対手を出さない商品

ということが一目瞭然です。

 

まずこのMARSとは何か という前に

アメリカの保険制度について簡単に説明します。

 

アメリカはご存知の通り 健康保険は民間企業が扱っており、

日本のように安くありません。

毎月高い保険料を支払っていても保険でカバーされるもの、されないものとあり、カバーされないととんでもない金額を請求されます。

例えばイボひとつとるのに $400とか レントゲンに $500 とか こんなの当たり前で 骨折治療に$4000とかです。風邪をひいたからって 保険なしでお医者さんにいくと 風邪薬を出してもらうだけで 診察料金に$260くらいとられます。

救急車は一回呼ぶと $1500、緊急病院にかかると注射だけしても $2000 とかです。

だからアメリカで一生を送るには しっかりした保険に入っていないとたまったもんじゃありません。

保険金が支払いきれず 破産宣告する人も珍しくありません。

国でサポートしているのは低所得者だけ。

例えば年収$20,000以下で5人家族とか 

そんなのばかりで 普通の私達には全く関係ないものです。

 

おまけに先にあげた高額な治療費はその場ではわかりません。

2ヵ月後くらいに請求書で送られてくるのです。

だから治療するときいったいいくらくらいなのか 全く想像もつかないまま治療するのに ”必ず支払います” という書類にサインさせられるのです。

これこそ詐欺みたいなもんですが、、、(苦笑)

 

最近話題になっている MRIインターナショナルのような会社は

こういった負債を安く買います。

 

どういうことかというと 例えば(これはほんの一例)

医者のところに車にはねられ怪我をした人が来るとしますね。

本人は保険を持っていません。

でもこの人をはねた車の運転手は 自動車保険からでる災害保険をもっているとします。

医者は担当の弁護士に 保険から支払いをするように促し 治療をします。

その請求書は本人に行きますが 本人が支払える金額ではありません。医者はこういった未払い請求書を取り立てしている企業に 安く売ります。

例えば治療費実費100万円のものを60万とかで売るのです。

医者としては早く支払って欲しいので 安くても今もらえる額を請求し、取立て会社は 100万円取れれば差額の40万円は利益になるので まずは医者に60万円支払います。

この取立て会社は 車を運転していた人の保険会社へ100万円を請求し、数ヶ月かけて回収するか、回収できない場合もあります。

取り立ての対象は 個人から法人、又は保険会社など 幅広くあるので それによりいろいろなケースがあります。

 

アメリカではこういった取立て会社のビジネスは きちんとしたビジネスと認識されていますが これを会社として成功させるのには ”非常にリスクの高いビジネスモデル” としています。

なぜかというとまず、

 

1.取れる確立が初めから低いこと

2.本人が破産宣告をしたら何も戻ってこないこと

 

なので こういったビジネスをするときには 必ず、保険専門家、専門弁護士などを 社内に常においておけるだけのキャパがある企業でないと 絶対に無理な仕事、と表現しています。

 

もっと詳しくこの事業内容を見たい人は 英語ですが

こちらをご覧下さい。

これだけリスクの高い仕事です。

→ http://medcaresolutions.us/faqs

 

また アメリカでは 生計がきつくなってくると 

まず初めに皆が支払わなくなるのがMedical Bill。(医療請求)

取立会社に回っても 実は強制できないので そのままズルズルといくケースが殆ど。非常に取り立てにくい借金なんです。

保険金倒しとは良く聞く話です。

 

これに投資して成功する確立も低いのに 更に6-8%のリターンがどこからでてくるのか全くわからない というのが

私がこのニュースの記事を読んで初めの3分以内の感想。

 

日本に住んでいると この辺がわからないので この会社のパンフレットなどを見ると納得してしまうというのは無理ないと思います。

残念ながら投資をしてしまった方は本当に災害だったと思い

胸が痛みます。

 

また、日本の記事に エスクローアカウントという言葉がでているようですが これも正しく使われていません。

エスクローアカウントとは 自分がエスクロー会社であればそのように呼べますが そうでない場合は ただ適当にエスクローという言葉を使っているだけに過ぎません。

 

エスクローとは 不動産やビジネスの売買の際に 売り手と買い手の中立な立場に立って取引を行う いわば行政書士兼銀行のような機関で これはコレ自体で会社として運営しています。

手続き中は資金は中立な場所にとどまる為 買い手はエスクローへ資金を一旦預けて 全てが整ったらお互いの合意の元、初めて資金が売り手へ渡り 取引成立となります。

 

このMRIインターナショナルの場合、資料では 専用のエスクローアカウントとか言っているようですが これは単なる普通の銀行のチェッキングアカウントで好きなときに出し入れできるものです。

エスクローアカウントというと なんだか守られているかのようで、適当にこう呼んだのだろうということもよくわかります。

銀行で投資だけにしか使えないアカウントなんてありませんから!(怒)

 

それにしても これはきっと日本人がアメリカ事情を知らないことにつけ込んだ 根性の悪い詐欺だということが一目瞭然です。

きっとアメリカに住む日本人だったら 絶対怪しいということが

初めっからわかるでしょうね。

 

私も投資をビジネスとしていますが 同じ日本人が日本人を騙すケースって 寂しいけど良く聞く話です。

 

その投資案件が詐欺かどうかを見極めるには まず、

そのリターンがどこから出せるのか を確認することが 一番だと思います。

その会社だけでなく 自分なりに もっとリサーチしてみることもお薦めします。

アメリカ事情がわからなければ 誰かアメリカに住む人や 日本語を話す専門家に問い合わせてみましょう。

そのくらいの労力は 1000万円無くすより よっぽどいいと私は思うのです。

 

私の投資対象は全てが不動産なので 固定した資産として存在します。紙切れだけの資産ではないので 次の日に無くなったり価値が無くなる事がないので やっぱり私は不動産投資に安心感を覚えます。

 

この一件は まずこの会社の事業内容に明らかな不信点があったこと(ファンドをオープンしてから取引を実際何もしてないともいわれていますね、、、)、それから日本のマスコミ(テレビや新聞)の記事の書き方、英語の本当の意味がしっかり伝わってなく、聞いた人に間違った解釈をさせていることに 私は嫌気がさしてしまいました。

 

特に今 海外投資がブームになっています。

詐欺はどんなところにもどんな時代にもあるものですが

理屈の理解できないものには手をださないことが一番です。

 

長々となりましたがお付き合いいただきありがとうございました。

皆さん、投資詐欺、本当に気をつけましょう!

 

(出典:アメリカ不動産投資専門

http://ameblo.jp/mcmahonconsultant/entry-11520568931.html

★注 <記事>

 

【米MRIインターナショナルの登録取消、投資資金を配当に流用

=金融庁】

 

証券取引等監視委員会は26日、米国での事業に関連したファンド持ち分を日本で販売していた 米MRIインターナショナル(本社:米ネバダ州)が、顧客から集めた資金を本業に用いず 他の顧客への配当金・償還金の支払いに流用したり、虚偽の事業報告書を提出するなど 金融商品取引法に違反したとして、行政処分するよう金融庁に勧告したと発表した。

投資資金の一部が消失していたとみられる。

監視委は同日、MRI社への強制調査にも着手。金融庁は、同社の金融商品取引業者の登録を取り消し、業務改善命令を出したと発表した。

 MRI社が2013年版のパンフレットなど 顧客勧誘資料を作成し、新たに多数の顧客を勧誘する計画を進めていたことから、監視委は 緊急に是正する必要があると判断し 勧告した。

金融庁は、監視委の勧告を踏まえて同日、同社の登録を取り消し、会社財産を不当に費消しないことや 顧客への財産返還を速やかに実施することなどを命じる業務改善命令も出した。

 

 監視委は、事実に著しく相違したり誤認される広告を行う金融商品取引法違反があったとして、米本社と日本支店(東京・千代田区)を嫌疑法人、エドウィン・ヨシヒロ・フジナガ代表取締役を嫌疑者とした強制調査にも着手した。

今後も全容解明を目指し、必要があれば刑事告発もする構え。

 

同社は、米国での診療報酬請求債権(MARS)の購入と回収事業に出資して得られる利益の一部を配当として受け取れる権利(ファンド持ち分)を日本で販売していた。この際、固定年利6.0─8.5%の高い利回りが得られると宣伝。同社のホームページによると、2012年12月末の顧客数は約8700人、預り資産は1365億円に上る。ただ、金融庁幹部は「同社の公表数値にどの程度の信頼性があるかはわからない」と話している。

 

 監視委の調査で、同社では分別管理が適切に行われておらず、少なくとも2011年以降、顧客からの出資金を 他の顧客に対する配当金や償還金に流用していたことが判明。

さらに、支払い遅延が生じているにもかかわらず、信託口座の状況を 顧客に適切に説明せず勧誘を継続しており、顧客に対して出資金の使途や配当金の支払いについて虚偽の告知をしていた。

 このほか、当局が同社に対して報告徴求命令を出した際、第三者機関と共同して信託口座の内部査定を実施したと回答しながら、その事実は認められなかった。

 MRI社をめぐっては昨年12月、投資家から配当償還が遅延しているとの情報が寄せられ、今年3月4日、検査が開始。

監視委は、今回の検査において 米証券取引委員会(SEC)の協力を得たとしている。

MRI社は顧客からの資金の振り込みや顧客への配当金などの支払いを直接、米国の口座を通じて実施していたため、情報が分散しており全容の把握は難航するとみられる。

 

 金商業者や運用業者による顧客資産の消失事例としては、AIJ投資顧問が 虚偽の運用実績を示して 企業年金から受託した資産の大半を失った事件が昨年、発覚していた。

勧誘時に虚偽の説明をするなど、今回の事案と似た面もあるが、

MRI社の場合、主な顧客は富裕層の個人投資家だったもよう。

 

 金融取引をめぐる信頼回復に向けては、検査・監督体制の拡充の是非が改めて関心を集めそうだ。

MRI社は日本で2008年、第二種金融商品取引業者の登録をしたが、当局が検査に乗り出したのは今回が初めて。

MRI社と同様の登録をしている業者だけで1300社近くあり、当局の陣容は追い付いていない面がある。

 

 <投資家は「商品の流動性・透明性を確認する必要」>

 

 このところ日本の株価は回復し資産運用の環境は改善しているが、依然として超低金利は続いているため、株式投資ほど変動リスクを取りたくない投資家の固定金利商品に対する需要は高い。

 

 今回のような事例について BFCアセットマネジメントの 川名教之会長は「投資家は株式との相関性が低い商品を好んで買う傾向がある。そこで利回りが6─8%だと魅力的に映る」と指摘。

 また、「このような商品は時価評価をするのが非常に難しいため、投資家は商品の流動性や透明性を目論見書などを見て確認する必要がある」と警鐘を鳴らしている。

 (ロイターニュース 2013/4/26 平田紀之、程近文、江本恵美;編集 田中志保)

 

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK066492920130426